7/13(土)GSAが開催される1日目の夜、恒例のサイエンスセミナー開催いたします!!

 

講演:地下望遠鏡・KAGRAではじめる 重力波天文学」

講師:東京大学宇宙線研究所 苔山圭以子 助教」

日時:2019年7月13日(土)19時30分から21時

場所:神岡町公民館ホール(入場無料です)

 

約100年前、物理学者アインシュタインは、一般相対性理論を確立させました。この理論は重力の理論といわれ、宇宙や時空についてさまざまな現象を説明したり、予言したりしました。

一般相対性理論の中で予言された物理現象のうちの一つが、重力波です。

重力波は、時空のゆがみが波になって伝わるものです。この時空のゆがみはものすごく小さく、アインシュタインはとうてい検出できるようなものではないと思っていたようです。重力波による時空のゆがみは、ものすごく小さいため、現実的に検出できる装置を作るのは不可能だと思われていたのです。

それから約100年後の2015年9月14日に、アメリカの重力波検出器LIGOが、宇宙のかなたの連星ブラックホール合体からやってきた重力波を検出しました。予言から100年を経て科学技術が成熟し、さらにたくさんの科学者やエンジニアの手によって、重力波を検出できる装置を作れるようになったのです。

ブラックホール連星合体からの信号をくわしく研究することによって、これまでの望遠鏡では見ることができなかった、ブラックホールにまつわるさまざまな事がわかりました。

この発見で、LIGOの創設者である3名の物理学者がノーベル賞を受賞しました。その後、連星中性子星合体という天体現象も見つかりました。この現象はほかの通常の光学望遠鏡や電波望遠鏡などでも観測され、それらの知識をあわせると、今まで謎だったことがいろいろわかりました。

重力波望遠鏡KAGRAは、神岡鉱山地下にある、LIGOと似た設計の重力波検出器です。

LIGOとは違い、地面の揺れが少なく静かな地下に設置されています。重力波検出器ではものすごく小さな空間の歪みをとらえるために、熱によって装置の分子が揺れてしまうことも雑音になってしまいます

KAGRAでは、特別な冷凍機を使い、装置の重要な部分を-250度に冷却して雑音を減らすという戦略をとっています。これらの技術は、世界のほかの検出器ではまだ取り入れていない最先端の技術です。

KAGRAでは、さまざまな機器や装置の組み立てや設置が完了し、まさに今重力波検出器として稼働させるための実験を行なっています。そして、世界の重力波観測ネットワークに参加して重力波天文観測を行う予定です。

この講演では、

・そもそも時空の歪みが伝わるってどういうことか?

・KAGRAの独自の技術のこと

・観測がはじまると何が見えて何がわかるのか?

といったことについてお話しします。